一方、“すっぴん”のマサキさんにとってのアクセサリーについて聞いてみると、大学生の頃は、よりアイコニックなゲイになりたいと、ピアスを開けたり指輪をつけたりしていたそうですが、会社で働きはじめるようになってからは、身につける習慣がなくなっているとのこと。
そんなドリアンさんにとって、今回のLINK OF LIFEプロジェクトで作る指輪は、これまでの人生で身につけてきたアクセサリーとは違う意味をもつことになるだろうと、企画について話を聞いた段階で感じたといいます。
「自分の人生にリンクする指輪」という企画のコンセプトを受けて、最初にドリアンさんから挙げられた希望は2つ。ドリアンさんのときだけでなく、マサキさんのときにもつけられるような指輪であること。そして、デザインはできるだけシンプルなものにすること。
シンプルなデザインを希望する理由には、「ドラァグクイーンが作る指輪なら、きっと派手なものだろう」という周囲の思い込みや決めつけを裏切りたいという想いもあるとドリアンさんは話します。
「見る人を混乱させたい」「ゆらぎやひずみのような存在でありたい」という思いは、ドリアンさんがドラァグクイーンをやっているモチベーションの一つでもあるそうですが、今回の指輪づくりでも、その軸はブレません。
「ある映画で、ドラァグクイーンの唯一のルールは、ルールなんてないことだと言っていましたが、その通りだと思います。『ドラァグクイーンらしく』とか『ドラァグクイーンなんだから、こういうことやるでしょ?』っていうのはナンセンス。そういうものから解き放たれていて、様々な顔やオーラをまとえるのが、ドラァグクイーンの魅力の1つだと思います。」
周囲からの押し付けに囚われることなく、むしろそれを揺るがすような表現や発信をされてきたドリアンさん。その人生を体現する指輪は、果たしてどのようなものになるのでしょうか?
スチール撮影:伊藤圭