そして指輪の内側には、対話のあとに水野さんに決めていただいた言葉が刻印されています。
Deine Zauber binden wieder,
Was die Mode streng geteilt;
水野さんが大好きだというベートーヴェンの『第九』の一節です。留学をしてドイツ語を日常で使うようになった5〜6年前に、『第九』の歌詞を自分で訳してみた水野さん。その時にこの一節は、「時代に隔てられたもの達を、あなたの魔法が再び一つに束ねるところを見たいんだ」という訳が湧いてきて、水野さんご自身を体現しているような言葉だったため、衝撃を受けたと言います。
それから人生のモットーにしてきたこの言葉。実は指輪には通常25文字しか刻印できないのですが、水野さんの強い想いを受けて、丸山代表が試行錯誤し、なんとか実現しました!
そして、水野さんにはこの指輪の「タイトル」も決めてもらいました。「Vortex Temporum」、ラテン語で「時の渦」という意味です。
「現代音楽家が書いた曲で、僕も指揮を振ったことがある『時の渦』という曲があるんです。指輪に渦っぽい模様がありますし、新しい金属であるタンタルと、はるか昔からあるゴールドを融合させている点や、古くからあるクラシック音楽を現代につなぐ僕の活動も含めて、過去と現在が交わって未来をつくっていくような様子を表す指輪だと思うので、このタイトルがぴったりなんじゃないかと」
最後に、今回のLINK OF LIFEのオリジナルリングづくりは、水野さんにとってどんな体験になったでしょうか。
「密なコミュニケーションをとれたのが、今回ものすごく楽しかったです。随時進捗状況や試作の写真とかも送ってもらったのですが、できあがっていくプロセスを見るのは、まるで人が育っていくのを見守るような気持ちでした。
それに、僕はこういう人間ですっていうエッセンスを丸山社長に託して、丸山社長から僕がどういうふうに見えるのかが、指輪で返ってくるのがおもしろかったですね」
加えて、水野さんにとって「形が残るもの」ができたことも、大きな喜びだったと言います。
「僕、美術や建築も好きなんですけど、作品が固体として残るじゃないですか。それがとっても羨ましいと思ってきたんですよね。音楽は人が介さないとできないので。誰かが演奏しないといけないとか、レコードに針を落とさないといけないとか、能動的にならないと音楽って聞けないんです。人類が滅びたら、音楽は消えちゃうけど、美術作品とかは存在しつづける。そういう意味で、今回、自分を体現する指輪という、“存在しつづけるもの”ができたことが、ものすごくうれしいです」
できあがった指輪を、ライブなどでも絶対につけると宣言してくださった水野さん。今後このリングは水野さんにとってどのような存在になりそうでしょうか。
「丸山社長が、指輪は唯一自分で視認できるアクセサリーだって話していたのが印象的だったんですけど、自分を客観的に見ることができる指輪になると思います。何かあった時でも、自分のあり方や目指すべき方向を確かめることができて、ブレずにいられるんじゃないかなっていう気がします」
物事を俯瞰してみることが好きだという水野さん。自分が生まれるより遥か昔の過去から現在へと続く大きな時間の流れのなかで、「自分が担うべき役割」も俯瞰して捉えて活動されているように感じます。そんな水野さんご自身の人生の、過去と現在を刻んだリングが、時には水野さんの“時の魔法”の力を増幅させ、時には自分以前の大きな文脈を思い起こさせる“歯止め”となり、また時には、「自分らしさ」と向き合う相棒になることを願って…。
LINK OF LIFEプロジェクト第2弾 with 水野蒼生さんは、こちらで完!SORAは今後もすてきな人生の歩みをしていらっしゃる方々の人生を込めた指輪づくりに挑戦し続けます!
スチール撮影:伊藤圭