月光が映す、秋風にたなびく雲

秋風にたなびく雲の絶え間より もれいづる月のかげのさやけさ
akikaze ni tanabiku kumo no taema yori moreizuru tsuki no kage no sayakesa
breaking through
an opening in the clouds
that trail on the autumn wind—
how clear and pure
the moonlight
Translation of Hyakunin Isshu by
Emiko Miyashita and Michael Dylan Welch
<現代語訳>
秋風に吹かれてたなびいている雲の切れ間から、こぼれる月の光はなんと澄みきった美しさだろう。
左京大夫顕輔(さきょうだいぶのあきすけ)1090年-1155年
平安時代後期の公卿・歌人であり、本名は藤原顕輔(ふじわらのあきすけ)です。彼は優れた和歌を多く残し、和歌集の編纂にも関わりました。その中でも、百人一首に選ばれた和歌は特によく知られています。
この和歌は、秋風に流される雲の間から、こぼれる月の光の美しさを詠んだものです。
「澄雲(すみくも)」は、この和歌を四季の「秋」、花鳥風月の「風」として選び、デザインしました。秋の風が雲を運び、夜空に光を透かす美しさ。流れる雲の動きと、そこから顔を覗かせる月の光の輝きがデザインに込められています。

「澄雲」のデザインについて
指輪の外側には、風にたなびく雲の合間から見える月を表現しました。月の周囲の雲には、月の光が反射し、「こぼれる月の光」の様子を描いています。また雲の重なりを繊細な彫刻で立体的に仕上げることで、見上げた夜空の奥行きを感じさせています。
内側には、柳の葉が風に揺れる様子を描いています。細くしなやかな柳の葉が、揺れている様子を描くことで秋の夜風を表現しています。
「澄雲」は、空を見上げた時に、その美しさに心を奪われる瞬間を形に込めました。外側のたなびく雲と月は、内側の柳がそよぐ風景と重なることで、秋の夜空の情景や澄んだ空気を感じられる作品となっています。

制作のこだわりと見どころ
「澄雲」の制作では、雲と月の表現に高度な技術とこだわりが詰まっています。雲の表現には、プラチナの高肉象嵌を施し、その上に微細な彫刻を重ねることで、風に流れる柔らかな雲の動きを再現しました。彫りの深さや重なりを工夫することで、夜空にたなびく雲の立体感を際立たせています。
また、月には肉合彫り(ししあいぼり)が用いられ、イエローゴールドを象嵌したのち、月面の表情を繊細な彫刻で表現しました。満月に浮かぶ陰影や質感が、静かに輝く秋の夜空を思わせます。
さらに、内側には風に揺れる柳の葉をレーザー彫刻で刻み、純金箔を貼ることで月明かりに照らされて揺れる柳の葉を表現しています。

「澄雲」の詳細
主要素材:Ta(タンタル)
装飾:YG(イエローゴールド)、Pt(プラチナ)、純金箔、K24メッキ
技法:高肉象嵌、肉合彫り、K24メッキ、金箔貼り、レーザー彫刻、NC彫刻
サイズ:22号 幅10mm 厚2.0mm
価格:¥1,010,900(税込)
※本作品は1点限りとなります。サイズの調整やアレンジ加工などのご注文は、出来かねますのでご了承ください。