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職種
制作ディレクター
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入社年
2010年
お客さまの想像を超える指輪で
心の底から感動してもらいたい
自分一人でデザインし、作る
僕は物心ついたときから、ものづくりが好きでした。美大の工芸科に進んだのですが、そこで「ものをデザインする」「ものを作る」ことを一人で行うところに魅力を感じました。
工芸は「実用性と美」のバランスが永遠のテーマです。僕は彫刻などのファインアートも好きですが、自分は「人が日常的に使うものをデザインし、作りたい」と思いました。そのようにして、自然と指輪制作に向かいました。指輪は使用する際、人間の身体にとても近く、付けるだけで気分が変わったりしますよね?そうした「道具だけど道具ではない」独特の存在感が面白かった。
人の心を動かしたい
就職にあたって、「自分が何をしたいか」を考えたとき、「人の心を動かす」ことが好きだと気付きました。SORAの丸山代表のことは以前から知っていました。「この世に無いものを想像する」という理念や、実際の製品・やっていることも自分と重なる部分が多いと感じたので、SORAに参加することを決めました
実際にSORAに入ってからは、「取りあえずやってみる」という社風が、自分に合っていました。もちろん失敗することもありますが、実際に手を動かしてみないと分からないことって多いですよね?僕は現在、後輩のクリエイターを指導する立場にもあるのですが、SORAでの仕事を通して、技術を習得する喜びや、手を動かすことで得られる感動を味わってほしい。そこは自分が積極的に発信していくことで、周囲が活性化するよう心がけています。
人は、「普通に良いもの」にはなかなか感動しないと思います。本当に「おーっ!」という感動は、想像の範ちゅうを超えた出会いから生まれることがほとんどではないでしょうか。僕は、心の底からの感動をお客さまに味わっていただきたい。
思い出に残るリングストーリー
嫁がれる奥様から、「結婚して名字が“杉山”になるので、杉をモチーフにした結婚指輪を作ってほしい」とのオーダーをいただきました。その言葉から「杉の丸太に指を通すような」指輪のイメージが閃き、提案させていただきました。
僕の場合は指輪の完成形のイメージが先に浮かび、実際に手を動かしながら、そのイメージにピントを合わせていく感覚で制作を進めていきます。この指輪で特に力を入れたのは、杉の木らしい表皮のテクスチャーの表現です。フラットな状態の素材を削り出して凹凸を付けるのですが、凸の側面を内側にえぐり込むように削ることで、陰影を表現できるんです。ほかにも素材のたたき方で杉の皮の質感を表現できたり。そのあたりは絵を描くような感覚でディテールを詰めていきました。
こうした指輪作りのノウハウは、実際に手を動かしてみないと身に付きません。これは「作る人間が考えるデザイン」だからこその面白さだと思います。僕は、お客さまのオーダーに沿いつつも、お客さまが気付かない・思い付かないデザインを提案するよう心がけています。杉のテクスチャーを配した結婚指輪というアイデアは、ほかのジュエリーブランドでは出てこないと思います。「あり得ない」を「あり得る」にするのが、SORAの面白さ。結果的にご夫婦には、この大胆な発想を気に入っていただけました。