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職種
デザイナー
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資格
金属アレルギーマイスター
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入社年
2002年
指輪の既成概念から自由になって
自分たちにとって本当に良いものを手にしてもらいたい

スクールの生徒から講師に
もともとは化学をやっていて、妹の勧めでSORAのスクール(現在は休止)に通い始めました。実際に金属を叩くと硬くなったり、加熱して溶接したりという作業が新鮮で純粋に楽しかったです。当時は非常勤の講師を務めていたのですが、ものづくりに没頭できる環境にも惹かれて、そのままSORAの講師になりました。

その際、「指輪やアクセサリーの既成概念を取り払って、新しい価値観を作っていく」という代表の理念には深く共感しました。当時スクールには、自分で何かを創造するというより、「あそこで売っているああいう物が自分でも作れないか」という考えで来る方が多かった。無限の可能性があるのに、量産品を目指してしまうんですね。
「人は見たものしか価値として捉えられない」ことは理解した上で、「もっと可能性を広げていけるよね」と教えていたのがSORAのスクールだったんです。「指輪の既成概念から自由になって、自分たちにとって本当に良いものを手にしてもらいたい」という思いは、今でもありますね。

「自分たちで選び取る」経験が大事
7年ほど前から店頭でお客様と接するポジションに就きました。結婚指輪は、人生の中でも大事な時期に手にするもの。それぞれ独立して生きてきた人たちが一緒になるわけですから、ある一面では衝動的で、パワーもある。その一瞬に少しでも関わらせていただくのは、大きな喜びです。
その関わり方も、お客さまによってさまざまです。例えばリクエストされたデザインに対して、「こんなデザインもありますよ」と一度の提案ですんなり決まることもあります。たったこれだけでも、一般的な結婚指輪屋さんのように、カタログを見て選ぶのとは大きく違うと思います。
大事なのは、与えられたものから選ぶのではなく、自分たちで選び取っていくこと。そうした体験は、おふたりが先々困難に直面した際にきっと役立つと思います。もちろん、「いいデザインができて良かった」と印象に残っている接客もあるのですが、私にとってはそれがメインの目的ではない、という感じがしてます。

思い出のリングストーリー
ボードゲームがお好きなおふたりから「サイコロのデザインの指輪を作れませんか」というリクエストを受けました。問い合わせの段階では、中心がくるくる回ってサイコロの目が出る既製品の指輪の写真が添付してありました。
実際に来店された際は、参考として、正12面体のものなど、さまざまなサイコロを持ってきてくださいました。それを見たときにアイデアが湧いて、「既製品をなぞるのではなく、おふたりだけのサイコロを作りませんか」と提案させていただきました。一般的なサイコロの1~6ではなく、ふたりだけの記号を作って数字を表したら、ほかに無いものができると思ったんです。そこからは3人であれこれデッサンして、最終的に奥様の出したグラフィックを指輪の表面に散りばめました。

私は、「これがいいですよ!」と決め打つような提案は苦手です。お2人からリクエストがあった上で、こちらから提案を行い、それに対してフィードバックが戻ってきて、3人で考える……「まあまあよくできたな」と感じるのは、大抵の場合、そうした接客ができたときですね。