最近見かけることの多くなったチタンやジルコニウムの結婚指輪について、みんなに選ばれる理由を調べてみました。
チタンとジルコニウム、どちらも鮮やかなカラーが話題の結婚指輪。人気のカラーの秘密は、表面の酸化皮膜にあります。この表面処理技術によりシャボン玉のように透き通る鮮やかなカラーが表れます。
ふたつの金属の特徴はとても似ていて、どちらも硬く軽量で、金属アレルギーへの反応も起こりにくい結婚指輪にぴったりの安心素材です。
【チタンとジルコニウムの特徴を知ろう!】
チタンは聞いたことがあるかもしれませんが、ジルコニウムという金属はご存知でしょうか?
ジルコニウムは、実はとても身近な元素です。私たちの身の回りのアクセサリーやパワーストーンのバリエーションに「ジルコン」「ジルコニア」という鉱物・貴石があります。これらに含まれているのがジルコニウムという元素なのです。
チタン
元素記号 Ti
原子番号 22
密度 4.5g/cm3
融点 1668°C
チタンは、軽量高強度で金属疲労が起こりにくいため、宇宙開発機器や航空機の機体への利用、スポーツ分野や眼鏡フレームなどのファッションへも取り入れられています。
錆に強い優れた耐食性を持ち、生体親和性の高さからアレルギーが起こりにくい素材として人工関節や歯科インプラントなどで使用されています。ジルコニウム同様に表面に精製する酸化皮膜により鮮やかな発色が可能です。
ジルコニウム
元素記号 Zr
原子番号 40
密度 6.5g/cm3
融点 1852°C
ジルコニウムは、化学薬品に対してチタン以上の優れた耐食性を持ち、さらに機械的な強度も高いことから、工業用製造装置の素材としても利用されるレアメタルです。
表面の酸化皮膜はとても安定しており金属の溶出がないので、金属アレルギーを起こしにくい性質を持っています。
ジルコニウムはSORAが世界で初めて結婚指輪の素材として使用しました。
【理由①:軽くて丈夫だから着け心地が良い!】
チタンやジルコニウムは、まさに科学技術が産んだ宝物。チタンやジルコニウムは砂金のようにそのままの状態で地中にはなく、酸化鉱物として膨大な岩を集めて精製しなくてはなりません。実用化出来たのは1940年代から。こうした出自をもつチタン・ジルコニウムはまさにその「軽量、高強度、高耐食性」という機能性をいかすために生まれた最新素材なのです。
【理由②:金属アレルギーが起こりにくい】
金属表面に不動態皮膜という強い酸化皮膜を瞬時に形成することから生体親和性が高いのが特徴。つまり体が異物と認識しにくい金属なので医療用器具や人工骨、インプラントに使われるほど体に優しいので、毎日身に着ける結婚指輪にぴったりと言えます。
【理由③:鮮やかなカラー発色】
薄くて透明な酸化皮膜に光があたり反射すると、薄膜干渉が起こり鮮やかな色が見えます。酸化皮膜の厚みを制御することで様々な色や、グラデーション、さらに玉虫のような複数の色を一度に表現することができます。
<身近なチタン製品の紹介①>
金属アレルギーの起こりにくい歯科インプラント
<身近なチタン製品の紹介②>
酸化皮膜が鮮やかなゴルフクラブのドライバーヘッド
【チタンとジルコニウムの違いは?】
チタン製品は結構身近にあふれてきましたが、ジルコニウムはまだまだ一般的なものに使われていませんのでなかなか手にすることができません。とても似た特性のチタンとジルコニウムですが、どんな違いがあるのでしょうか?
1.素材の色
色味はチタンの方が少し暗く黄色味があるのが特徴。見比べてもなかなか分からない僅かの差ですが。
左:チタン/右:ジルコニウム
2.密度(比重)
チタンとジルコニウムは周期律表では同じ列に縦に並ぶ兄弟のような元素ですが、密度が異なります。低いチタンが比重4.5で、ジルコニウムは6.5。同じ体積でつくったリングを天秤に乗せるとジルコニウムが重いのでつりあいません。
左:チタン/右:ジルコニウム
3.酸化皮膜によるカラーの違い
酸化皮膜によって発色するチタンとジルコニウムですが、カラーバリエーションや色味の違い、色の耐久性に少し違いが見られます。
・表現できる色の範囲や色味
ジルコニウムの方がチタンよりも表現できる色の範囲が広いです。色によってはチタンは色ムラが出やすくなり、ジルコニウムの方が鮮やかに美しく見える場合があります。
・色の耐久性
ジルコニウムの方が酸化皮膜の強度が高いため、チタンよりも摩耗に強く、色が長続きします。
【まとめ】
結婚指輪の素材は貴金属だけとは限りません。現代のような移り変わりの早い時代において旧来の価値観に捕らわれる必要はなく 、工業材料として素晴らしい機能性を見出されて誕生したチタン・ジルコニウムが結婚指輪の素材にバッチリ!ということは実際に選ばれるカップルが多いことでも証明されます。(※年間約700組※2016年当社実績)
一般的にジュエリーと言えばプラチナやゴールドのイメージを持ちますが、毎日身に着ける結婚指輪の素材として特にぴったりなチタン・ジルコニウムを楽しめる文化が花開きつつあります。もし迷っている人がいたらぜひ実物を手にしてみてはいかがでしょう。