地球温暖化と屈斜路湖の自然環境変化

地球の平均気温上昇が産業革命以降に加速し、それは化石燃料を燃焼させることで放出される温室効果ガスが大きな要因とされています。

また、地球は2万~11万年で氷期と間氷期を繰り返すサイクル「ミランコヴィッチサイクル」があり、日射量の変化が周期になり大きなサイクルで寒い時期と温暖な時期が交互に来る気候変動もあります。

気候変動に関してはこうしたマクロな気温の変化と、近年の気候変動というミクロな変化の両方を考えていく必要があり、これまでの人類による温室効果ガスによる気温上昇は、これまでの地球が持つマクロな気候サイクルを越えた急激な温暖化の傾向を示すものです。その原因である我々の温室効果ガスの排出を減少させていかねばなりません。

《温泉流入による屈斜路湖の水質変化》

前編で見たような、大自然の中で見る美しい自然現象が地球温暖化の影響で永遠に出現しえなくなったら残念です。温暖化の影響が、結氷や積雪に影響してくるという話もありました。地球そのものが長期的なマクロの寒暖のサイクルを持つ気候システムであるということも踏まえ、屈斜路湖のここ100年間の実際の水質変化にも触れてみたいと思います。

 

屈斜路湖は、水源に温泉の湧水があることで中性、酸性、中性と水質の変動を繰り返していますが、この環境変化は人間が起因せずに起こっています。

1920年頃はウグイ、ヒメマス、ベニマス、イトウが捕れたそうですが、その後、酸性化することで魚類が消えてしまった時期が長かったようです。その後、中性化しワカサギやトゲウオが棲むようになり、現在も生態系の再編が行われているのです。

どんどん進化が起こり、食物連鎖の関係が更新され、生き残ったり淘汰されたりする高速での進化実験場です。

温泉の廃水は、人為的なものではなく火山活動の自然現象ですが、ここまで短期間に環境が変わっていく過渡期の自然を垣間見れるのもこの土地ならではで、温暖化や水質の変化が著しいのですが、ここでの生物の環境順応性であったり適応力というものは凄まじく早く、日々進化を遂げているのです。

人間は自然環境を自分の都合のためにだけに変化させてきました。これからは、ひと時の変化へのプレッシャーや不自由への恐怖を乗り越えて、再生可能エネルギーの活用など新たな生活スタイルへと変化するチャンスでもあります。

未来に繋ぐもの

ここ数十年での温暖化による環境変化と、元来の火山活動による温泉流入による水質変化が起こることで、屈斜路湖周辺では複雑な環境の変化が起こっています。それはここだけでなく実は至る所で細かな変化が起こっており、気づいていないだけかもしれません。

温室効果ガスによる急激な気候変動と、元々起こりえる地球の活動による環境変化がありました。

「JOURNEY OF RING」では、今後も目を向けた先の自然をつぶさに観察しつつ、さらに目に映るものだけでない本質にも気づけるよう、さまざまな四季の大自然に繰り出して行きます。

そこで見た自然の変化の機微を捉え、感じることで、私たち人類が何を未来に繋げていくのか、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

《ライター紹介》

SORA営業企画部マーケティングチーム所属

日本自然保護協会(NACS-J)自然観察指導員

坂本良太

 

宇宙撮影でもおなじみマーケの坂本。普段は企画業務をこなしつつイベント運営、機材の試作までなんでもやる課のアラフォーパパ。最近気になることは宇宙創生とベルトサンダー。