いま日本の上を飛んでいる飛行機は何機あるでしょう?

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これだけたくさんの飛行機が飛び交っているのには驚きですよね。国際線の離発着がある羽田、成田空港付近はかなり混雑しています。(駐機もありますが。)さらにこれらに加えて緊急のドクターヘリや自衛隊機も飛んでいます。 どんなに広い空であっても身勝手に飛び回り大惨事につながる航空機事故を起こしてしまっては大変です。そこで250m以上(航空路内では150m以上)の空域を飛ぶ場合は「航空法209条の3」にのっとり許可申請をしなくてはならないのです。

飛行許可申請ってどうやるの?

宇宙撮影のための気球は航空法上では自由気球といい、観光地などで人をのせて浮かぶ熱気球と同じです。自由気球も飛行機やヘリコプターと同じように国土交通省航空局による飛行許可書が発行されないと飛行する事はできません。航空局では「ノータム:NOTAM(Notice To Airmen)」という注意情報を発行しています。例えば自由気球近くを飛行する航空機に対して「〇月〇日〇時の高度〇〇,〇〇〇mに自由気球が飛行予定(もしくは飛行中)です。」といった情報をノータムと言い、安全運航のために運行情報官が周辺航空機に伝えている重要な情報です。

航空局は東京と大阪にあり、このふたつの機関の出張所、もしくは空港事務所が全国各地をカバーしていますので、まず放球予定地の出張所、もしくは空港事務所を確認しましょう。

1. 静岡県、長野県、新潟県から東の区域:国土交通省東京航空局
2. 富山県・岐阜県・愛知県から西の区域:国土交通省大阪航空局

申請書づくりのコツ

特に決まった申請用紙はありませんが、熱気球用に活用されている書式を流用するのが良さそうです。申請書類は運行情報官の確認と訂正が入りますので、修正や追記の指示を仰ぎながら一緒につくるイメージです。以下でダウンロード出来る用紙に加えて機体の構造や、機体に貼りつけるシールを図解した資料も添付しましょう。

スケジュール的には遅くとも放球の1ヶ月前には書類を提出して内容確認をはじめましょう。数度のやり取りを経て、計画に問題が無いと判断されることで飛行許可書が発行されます。電話と電子メールのやり取りになるので書類は電子化がよいでしょう。最終的には書類に捺印して郵送することになります。(許可書の返送用に切手を貼った封筒も同封しましょう。)

こちらのサイトにダウンロードがあります→ 「SCHAFT(シャフト)」

わたしたちなりにこれまで4回の放球経験から、許可申請の「コツ」というのが掴めてきました。自由気球は制御がきかない「風まかせ」なので、当日の「風速」と「風向」がとても重要になります。許可申請時にあらかじめ気象状況にもとづき飛行経路と着地場所を予測しなくてはなりませんが、天気予報と同じで日程が近くならないと確かな飛行経路は設定しづらいのです。

そこで「放球日時、打ち上げ場所、飛行エリア、飛行方向」は以下のように幅を持たせておき、まずはなるべく大きく許可を得ておくと良いと思います。

1. 放球日時:
「〇/〇~〇/〇」と放球希望日を含む期間を記載(最長1ヶ月)
2. 飛行時間: 上昇速度とパラシュート速度から放球~着地までの時間を計算
3. 打ち上げ場所: 飛行範囲の東西南北の打ち上げ候補地点を北緯東経で指定(秒まで) 「ex,候補地点A北緯〇度〇分〇秒、東経〇度〇分〇秒」
4. 飛行範囲: 四角形の場合、頂点4か所を北緯東経で指定(秒まで) 「ex,頂点①北緯〇度〇分〇秒、東経〇度〇分〇秒、」
5. 飛行方向: 全方位「0°~360°」

あとは気象状況の解析能力を上げ、好条件の候補日がくる予想をたてましょう。いよいよ候補日前日になっても予測が急変化しないと踏める場合に、翌日放球を実施するというやりかたです。

運行情報官とのやりとり

「打ち上げ日」「打ち上げ場所」は、放球前日には確定して運行情報官へ連絡しなくてはなりません。自由気球ならではの幅を持たせた申請では備考欄に「放球前日、当日、終了時に運行情報官へ連絡する。」と追記が入ります。また、自衛隊基地が飛行エリアにある場合は「自衛隊運行事務所へ連絡する。」と追記も入りますので、放球実施時には前日、当日に運行情報官や自衛隊への報告が欠かせません。

 

わたしたちは前日と、当日8時と11時に関係各所へ状況報告を行い無事実施することができました。航空運航の安全の為にも確実な状況報告を行いましょう。

最後に、関係する航空法について

航空法99条の2
何人も、航空交通管制圏、航空交通情報圏、高度変更禁止空域又は航空交通管制区内の特別管制空域における航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのあるロケットの打上げその他の行為(物件の設置及び積載を除く。)で国土交通省令で定めるものをしてはならない。ただし、国土交通大臣が、当該行為について、航空機の飛行に影響を及ぼすおそれがないものであると認め、又は公益上必要やむを得ず、かつ、一時的なものであると認めて許可をした場合は、この限りでない。
2 前項の空域以外の空域における航空機の飛行に影響を及ぼすおそれのある行為(物件の設置及び積載を除く。)で国土交通省令で定めるものをしようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、あらかじめ、その旨を国土交通大臣に通報しなければならない。
引用元 : houko.com

 

航空法209条の3
一 ロケット、花火、ロックーンその他の物件を法第九十九条の二第一項 の空域(当該空域が管制圏又は情報圏である場合にあつては、地表又は水面から百五十メートル以上の高さの空域及び進入表面、転移表面若しくは水平表面又は法第五十六条第一項 の規定により国土交通大臣が指定した延長進入表面、円錐表面若しくは外側水平表面の上空の空域に限る。)に打ちあげること。
二  気球(玩具用のもの及びこれに類する構造のものを除く。)を前号の空域に放し、又は浮揚させること。
三  模型航空機を第一号の空域で飛行させること。
四  航空機の集団飛行を第一号の空域で行うこと。
五  ハンググライダー又はパラグライダーの飛行を第一号の空域で行うこと。

2 法第九十九条の二第一項 ただし書の許可を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書を国土交通大臣に提出しなければならない。
一  氏名、住所及び連絡場所
二  当該行為を行う目的
三  当該行為の内容並びに当該行為を行う日時及び場所
四  その他参考となる事項
引用元 : elaws.e-gov.go.jp

 

 

法律文は独特の言い回しで解釈が難しいので、様々なサイトで紹介されている解釈文を読むと勉強になります。中でも日本の風船宇宙撮影のパイオニア岩谷圭介さんの「風船宇宙撮影」で詳細に解説されていますので詳しく知りたい方は以下のリンクからそちらに行けますのでどうぞ。

1. スペースバルーンの航空法上の扱い
2. スペースバルーンが関わる法律

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