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青い地球を背景に、無限大を表す記号の形をしたものが映っているこの写真。これは実は、SORAのスタッフが、バルーンに指輪とカメラを付けて宇宙まで飛ばし、その様子を撮影する「手づくり気球で宇宙撮影プロジェクト」によって撮影された画像なのです。

《この記事のインタビューアー・ライター紹介》

ライタープロフィール
石村研二
映画、環境、テクノロジーなどを中心に、greenz.jp、WIRED.jp、六本木経済新聞などに記事を執筆。宇宙と未来に興味が深く、暇な時はSFを読み、五次元空間に思いを馳せる。SORAの、結婚指輪とは無関係にも見える様々な実験や挑戦を見届ける予定。

「なぜやるのか」

この「手づくり気球で宇宙撮影プロジェクト」に関わったメンバーたちの話をお届けします。

そもそも、なぜ結婚指輪を作っているSORAが手づくり気球という形であれ宇宙に挑戦しようと思ったのでしょうか。代表の丸山聰はこう説明します。

指輪をデザインするにあたって自然を意識して作っているんですが、それは単に自然のモチーフを利用するだけでなく、そもそも「人間が自然の中で生かされている」ことに思いを馳せるということも大事なステップだと思って意識しているんです。
だから、指輪を撮影するときには、普段から指輪を人に見立てて自然の中に佇んでいるというコンセプトで撮影していて、その究極の野外撮影という意味で宇宙に飛び出てみようじゃないかと思ったんです。

指輪から人間、自然、そして宇宙へと思いを馳せる、それを映像にすることでブランドのコンセプトを一つの形に可視化するということなのでしょう。そして、さらに宇宙からの映像にはこんなメッセージも込められているようです。 高いところから見ることは「俯瞰」というくらいですから、色々なものを客観的に見ることができるじゃないですか。宇宙からの映像を見ることで、人が今置かれている状況や自分たちのあり方というものを俯瞰してみて欲しいという思いもあります。

そんな熱い思いから始まった"手づくり気球で宇宙撮影"プロジェクト、実際に成功するまでどのように進んでいったのでしょうか。

「どうやるのか」

このプロジェクトを発想したきっかけは、カナダの12歳の女の子がキティちゃんを風船で飛ばしている動画を見たことだったそうで、スタッフも「子どもでもできるんだから意外と簡単にできるんじゃないか」と最初は思ったそうです。

しかし、実は挑戦は今回が4回目、前の3回は様々な理由で失敗してしまいました。 技術的な部分を担当した南さんはこう言います。

最初の難関はカメラでした。動画と写真の両方を撮影するために4Kカメラを使うことにしたんですが、1回目はその発熱で30分で撮影が止まってしまい失敗でした。2回目以降は低い高度では本体を冷やし、上空に行ったら保温するという機構を工夫して作りました。
地上では簡単な事も宇宙に行くと難しくなる、当たり前のようですが、やってみないとわからないことのようです。回収について気象予測を担当した坂本さんはこう言います。

高層天気図や気象観測用のシミュレーターといった公開されているものを使ってある程度予測するんですが、やはり自然が相手なので直前に予想が変わったりして、装置自体は100%準備出来ていても気象次第で失敗に終わる可能性があるというのは結構プレッシャーになりました。

そんな悪い予感があたってしまったのか、2回目は予想以上に風が強くなり100キロ以上飛ばされ、また失敗してしまいました。 3回目は落下地点がわからずさらに失敗、そして4回目も発見できず失敗…かと思っていたところに、ブロッコリー農家の方から連絡があり奇跡的に回収でき、映像もしっかり記録されていたんだそうです!

「挑戦の意味」

「こんなもんじゃ終われない、まだまだ挑戦する。」という丸山代表に、結婚指輪を作っているSORAがこのような挑戦をする意味を改めて聞いてみました。

今回のプロジェクトは、宇宙に行くという大きな目標に向かって小さな挑戦や改善を積み重ねて、しかもそれを何人ものスタッフが連携して行くという試みです。一つの目標を達成するまでのロジックを獲得するということはなかなかできることではないので、今回のことは普段の業務とは異なっていても「挑戦」ということについていい経験になったんじゃないかと思います。

たしかに、日々の業務や生活の中でも小さな「挑戦」というのは存在します。それを乗り越えて何かを達成しなければいけないという意味では共通する意味があるのかもしれません。 気象担当の坂本さんもこんな感想を述べていました。

何よりも楽しんでやっていたので、今後何かに役立つかどうかはあまり考えずに集中して取り組みました。とにかくトラブルの要素がいくらでもあるので、準備の段階でそれをどれだけ発見して潰していくかという作業が大変でした。
宇宙という一番本質的なものを目標にして、そこに到達できたという達成感を感じられたことは、大きな意味があったと言えるかもしれません。

仕事にやりがいを感じ、それを楽しむこともできる、そんな挑戦なら意味が無い訳ありません。この宇宙撮影の他にも、色々なことにチャレンジして行きたいということですので、また新たな挑戦が始まったらお伝えしていきたいと思います。

「宇宙に行った結婚指輪」

最後に今回宇宙に行った結婚指輪「レムニスケート」について説明します。
レムニスケートは極座標の方程式を表す曲線の1つ。と言ってもよくわからないと思いますが、簡単にいえば「無限軌道」のことです。無限軌道が表すのはまさに「無限」、それは無限に広がる可能性です。

この結婚指輪は2つあわせてできる「無限軌道」によって無限に広がる創造の可能性を表現しています。考えてみれば、結婚も2人にとって「無限の可能性」を持つ宇宙のようなものかもしれません。 「無限の可能性」を感じに、ぜひ一度ショップへ見に来てください。

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