クロサン

はじめに

SORAでは創業以来、完成した指輪を自然の中で撮影しています。豊かな自然環境と、そこに生きる野生動物を守りたいとの思いから「WILD LIFE」JOURNEY OF RINGは、自然の中で逞しくもけなげに生きる“野生動物(ワイルドライフ)”を追いかけ、その姿を結婚指輪に写し取ります。

クロサンショウウオの結婚指輪

近年の気候変動や地球温暖化により、自然環境の変化は著しく、野生動物の生息数が急激に変化したり、種の保存が危ぶまれます。真っ先に環境変化の影響を受ける野生動物が追いやられることなく、生き続けられる自然環境を守る責任が私たちにはあります。

 

これからは人間が野生動物たちの暮らしを守り、人間と野生動物が共に生活する自然環境を保全していく事が必要ではないでしょうか。SORAの私たちが出来ることは指輪を作ること。指輪に野生動物の姿を映しとり、日々身につけることで自分と自然とのつながりに想いを馳せてみるのはいかがでしょうか。

 

今回は山の水辺に暮らすクロサンショウウオについて、その生態や生息環境の変化に迫りたいと思います。

クロサンショウウオの生態について

クロサンショウウオ

サンショウウオ目 サンショウウオ科のクロサンショウウオは、環境省レッドリスト2020では、準絶滅危惧(NT)とされ、長野県では天然記念物にも指定されています。

本州の東北部に分布する小型のサンショウウオで、低地から標高2000m台の高山まで水のある多様な環境に生息しています。体長は13~16㎝で、基本的におとなしい生き物。夜行性で寿命は10年以上になります。

 

サンショウウオは生息する環境によって大きく2つに分類され、渓流など、流れのはやい流水域で暮らすハコネサンショウウオなどの「流水性」と、流れが緩やかな溜池のような水場に棲むクロサンショウウオなどの「止水性」に分かれます。

クロサンショウウオ

山岳地が多く豊かな水辺が多い日本は、様々な種類のサンショウウオが生息する小型サンショウウオの楽園と言われており、44種類以上ものサンショウウオが発見されています。サンショウウオと聞いてイメージする1m以上に成長するオオサンショウウオは西日本、九州一部にしか生息していません。

 

食性は肉食で、幼生の時には水中の昆虫やエビなどを食べて、共食いもすると言います。幼体になると陸に上がりワラジムシ、ナメクジ、クモ、ミミズなどを食べ、落ち葉の下などでひっそりと暮らしています。多様なその土地その土地の環境に適合し、混じり合うことが少ないため多様な分類に発展しました。日本の水辺の豊かさを象徴する貴重な野生動物なのです。

 

クロサンショウウオの暮らす自然環境の変化は?

クロサンショウウオの棲む池

大規模な森林伐採や林道建設、メガソーラー建設でサンショウウオの生息する水辺はなくなり生息数は激減していると言います。またアライグマやアメリカザリガニなど、人間に持ちこまれた外来種により捕食されてしまうこともあるそうです。

メガソーラー

クロサンショウウオなど止水性のサンショウウオは、澄んだ清流ではなく溜池のような濁った所で生活をしています。小川のような水の流れ込みが常にある訳ではないので、繁殖場となる湿地や沼地は乾燥化により消失したり、森で増加するシカの食害によって下草が無くなり土壌が流失し、溜池が埋め立てられたりと、様々な理由で環境は瞬く間に変化しているそうです。

 

参考資料:

最近10年間でのクロサンショウウオの減少と産卵環境の変化

クロサンショウウオと人間が共に生きる方法とは?

クロサンショウウオ

過疎化する農村の水田や、神社・寺の溜池など人間の生活圏と重なっている水辺にサンショウウオが生息していることもあり、人間の農地放棄や、溜池が管理されなくなることで生息環境が消失するという事もあるようです。

人間の豊かな暮らしのために作られるダム建設やソラーパネル設置の影で、自然環境破壊によって生息数が減っているだけでなく、これまで人間と生活圏を隣り合わせていたが故に、人間がいなくなることで生息環境が減ってしまっていることも知っておきたい事実です。

 

人間も含め野生動物は、私たちの知らないところで繋がり合い、変化のバランスの中で生きているという事に考えを巡らせなくてはいけないのでしょう。

指輪に想いを込める【クロサンショウウオの結婚指輪】

クロサンショウウオの結婚指輪

人間による自然環境を一方的に消費する活動は自然を破壊し、野生動物たちの生活環境をおいやり、野生動物そのものを絶滅させてきました。湿地や湖沼などの水場は生物多様性にとってなくてはならない場所ですが、現在、世界的に湿地が減少しており、その原因は人間が開発のために埋めてしまったことによります。1900年以降、土地改変により世界の64%以上の湿地が失われたといいます。これからは人間が野生動物の暮らせる環境を守っていかねばなりません。

 

そのためにも指輪に野生動物の姿を映しとり、日々身につけて自然とのつながりに想いを馳せてみませんか。

山間部の溜池に暮らす2匹のクロサンショウウオがひっそりと苔の上に姿をあらわしました。私たちの暮らす湿地はいつまでもこのまま自然環境が残り続けますか?と、問いかけられているようです。

 

制作監修:北井健二
デザイナー:福澤知佳
クリエイター:北井健二田口百恵

クロサンショウウオの結婚指輪

指輪やジュエリーの起源は、自然環境にある鉱物や貴石・宝石を身につけたことが始まりです。その歴史は旧石器時代に遡り、貝殻に穴をあけて首飾りにしたものが10万年前の遺跡から出土しています。人々は魔除けや、お守り、権威の象徴として地球の恵みをそのまま纏うことで、自然が持つ大きな力を日々感じとり、自然と繋がった暮らしをしていました。

現代では貴金属や宝石を富の象徴として身につける時代になることで、地形が変わるほどに大地は掘り起こされ、環境は破壊されていきます。現在のジュエリーや宝石から感じられるものは自然環境の悲鳴なのかもしれません。

撮影するスタッフ

エシカル・サスティナブルな消費活動のために

人間が自分たちだけの為に自然環境から豊かさを得ていた時代は終焉を迎え、人間は自然環境を守りながら、野生動物とともに環境の変化に適応して暮らしていく時代の到来です。

 

エシカルジュエリー、サスティナブルジュエリーというジャンルがあります。エシカルとは「倫理的」「道徳上」という意味を持ち、私たち人間のその消費行動が人・社会・地域・環境に配慮されていることをさします。同じようにサスティナブルとは、最近ではSDGsの頭文字「S」としても耳にする機会が増えた「持続可能な」という意味で、こちらも人・社会・地域・環境に無理な負荷をかけずに、健全な消費サイクルが持続することを言います。

 

一生身につける結婚指輪は「人・社会・地域・環境」に配慮されたエシカルな消費でしょうか。自然保護や野生動物を守る活動を共に続けていきましょう。


ソラの坂本

《ライター紹介》

SORA営業企画部マーケティングチーム所属

日本自然保護協会(NACS-J)自然観察指導員

坂本良太

 

宇宙撮影でもおなじみマーケの坂本。普段は企画業務をこなしつつイベント運営、機材の試作までなんでもやる課のアラフォーパパ。最近気になることは宇宙創生とベルトサンダー。