カワセミ

はじめに

SORAでは創業以来、完成した指輪を自然の中で撮影しています。豊かな自然環境と、そこに生きる野生動物を守りたいとの思いから「WILD LIFE」JOURNEY OF RINGは、自然の中で逞しくもけなげに生きる“野生動物(ワイルドライフ)”を追いかけ、その姿を結婚指輪に写し取ります。

カワセミの結婚指輪

近年の気候変動や地球温暖化により、自然環境の変化は著しく、野生動物の生息数が急激に変化したり、種の保存が危ぶまれます。真っ先に環境変化の影響を受ける野生動物が追いやられることなく、生き続けられる自然環境を守る責任が私たちにはあります。

 

これからは人間が野生動物たちの暮らしを守り、人間と野生動物が共に生活する自然環境を保全していく事が必要ではないでしょうか。

カワセミの横顔

SORAの私たちが出来ることは指輪を作ること。指輪に野生動物の姿を映しとり、日々身につけることで自分と自然とのつながりに想いを馳せてみるのはいかがでしょうか。

 

今回は日本の翡翠(カワセミ)について、その生態や生息環境の変化に迫りたいと思います。カワセミと聞いてイメージするのは鮮やかな背の緑色と腹のオレンジ色。その名に「セミ」とつくので不思議に思った人もいるでしょう。渡り鳥ではなく、川の土壁に巣をつくるので都心部の川でも観られたりと、意外と身近に現れる鳥です。

翡翠(カワセミ)とはどんな生き物?

カワセミ水族館のカワセミ

ブッポウソウ目カワセミ科カワセミ属に属する鳥。カワセミと言う名の由来は、もちろんセミではなく、古名の「ソニ」がセミに変化したと言われています。古名の翠鳥(ソニドリ)がセミドリと変化し「セ」がなくなり「ミドリ」になったと言われ、緑の語源だそう。つまり緑色そのものを表す存在だったのです。

 

また、カワセミは漢字で書くと“翡翠”であり「ヒスイ、ショウビン」と読むことができる。緑の鉱物“ヒスイ”は、カワセミのような緑色であることから翡翠(ヒスイ)と名づけられたのだそう。

狩りをするカワセミ

美しい背中の色は、構造色によるもので光の反射で深い緑や真っ青に見えたりと様々な色合いを見せてくれます。上空から狙うタカなどからは水面に紛れて見えにくい保護色であるとも言われています。

 

その生態は、水面近くの枝から狙いを定めて飛び込み、湖沼や川の小魚やエビを上手に捕食します。英名はキングフィッシャーと言われる所以です。渡りをしない留鳥なので、繁殖時期4月下旬~8月くらいまで川辺の土壁に巣を掘って子育てを行い、都心部の川ではコンクリートで固められた護岸の水抜きパイプを巣にして繁殖しています。

 

性格は、とても警戒心が強く、地方の山間部で生息するカワセミは、いつもと異なる雰囲気を感じれば警戒し、人間の近くには現れないと言います。

逆に都心部のカワセミは、人間が危害を加えないということを知ったので、ヒトの目の前で巧みに魚を捕まえます。現在、東京都と千葉県では絶滅危惧種Ⅱ類(VU)に指定されています。

「美しい川の象徴」としてのカワセミ

ダイブするカワセミ

日本の1960年代以降の都心部の川では、高度経済成長期の代償として水質汚染が進行しました。それまでいたカワセミは見られなくなってしまい、各地で1980年代頃からカワセミが帰ってくるような綺麗な川に戻そうという運動が盛んにおこなわれました。その甲斐あって現在では水質改善や、営巣に適した河川整備が行われ、都心部でもその姿を見れるようになりました。

 

東京都葛飾区の「水元カワセミの里」にて、毎年4月下旬から巣作りを始めるカワセミを観察できると聞き、何度か撮影に伺いました。例年より確認回数が減ってしまっているという話なので、撮影は無理かと諦めかけていた所に千載一遇のチャンスが到来し、水中に飛び込む瞬間のカワセミを撮影することに成功。目の前で見事なダイブを披露してくれました。

指輪に想いを込める【カワセミの結婚指輪】

カワセミのスケッチ

今回、SORAのクリエイターがカワセミ結婚指輪を制作するに際して、カワセミを飼育している福島県耶麻郡猪苗代町の「アクアマリンいなわしろカワセミ水族館」にお伺いさせていただきました。

 

実際のカワセミの姿を間近に観察し、特徴的な動き、姿、鮮やかな羽毛の一本一本を目に焼き付け、スケッチに残します。見れば見るほどその姿に魅了される美しさがありました。

カワセミリング

指輪のデザインは、小魚を狙って水面の一点でホバリングし羽ばたくカワセミならではのダイナミックな姿を、ふたつの指輪にレーザー加工を施します。

 

背中と腹の色の微妙な変化と、毛並みの方向がポイントです。さらに指輪の内側には、水面が揺らめく波紋の形を立体的に削り出し、澄み渡るブルーの発色加工を施します。

制作風景

羽毛の色味はジルコニウムの陽極酸化発色によるもの。酸化被膜の厚みを変えることで何色もの色を表現。毛並みを一本一本ケガキ針で引っ搔いて表現していきます。

 

従来レーザー痕は発色に適さないのですが、レーザー痕の深部まで丁寧な研磨と仕上げを繰り返し、ジルコニウム発色のグラデーションでカワセミの腹の陰影を表現。クリエイターのこだわりで羽毛の肌触りまで感じられる表現が完成しました。

カワセミリングの完成

SORAのデザイナーとクリエイターは、日々のオーダーメイド対応のため様々な要望に応えるべくデザイン提案、制作技術を駆使し指輪を制作しています。このカワセミ結婚指輪もプロフェッショナルによるコラボレーションによって完成しました。

 

制作監修:北井健二

デザイナー:福澤知佳

クリエイター:田口百恵

ヒトと自然が共に生きるには?

いなわしろカワセミ水族館へ入るところ

「アクアマリンいなわしろカワセミ水族館」では、飼育されているカワセミの姿を間近に観察させていただき、自然の中ではなかなかじっくり観察できないその姿を間近に観察し、羽毛の一本一本の美しさを感じることができました。

 

また、副館長の平澤 桂様にお話を伺う機会をいただき、カワセミの生態についてだけでなく、近年の猪苗代湖周辺の気候や自然環境の変化、そしてヒトと自然が共生するためのポイントについてお聞かせいただきました。

カワセミ水族館の展示

平澤副館長は、2020年に新種として認定された“ヒラサワツブゲンゴロウ”を発見された方です。館内の展示は、多様なゲンゴロウをはじめ川に暮らす水生昆虫から、サンショウウオ、カワセミ、カワウソまでと福島県の湖沼群に生息する生物の多様性が分かりやすく親しみやすく展示されており、身近に生物と触れ合える見所豊富な水族館です。

 

気候変動の体感はものすごくあるということで、近年の猪苗代湖周辺は、冬の積雪量が減って、夏は暑い日が続くようになったそうです。冬の積雪が少ないと例年の大雪であれば越冬できない外来種のアメリカザリガニが活動の幅を広げて、水草を刈ってしまい本来水草に産卵する貴重なゲンゴロウなどが繁殖できなくなってしまい、在来の水生生物が減少する可能性があるとされています。

 

それだけではなく東日本大震災以降に増加したメガソーラー設置によって、貴重な水生生物が暮らす溜池や水路が埋め立てられてしまい、生息環境が減少している問題も指摘されています。

平澤副館長にインタビュー

気候変動だけでなく、人間の営みが野生生物の生息環境を追いやってしまっている現実も目の当たりにしている平澤さんは、福島県各地の水路や溜池の保全活動を行い、自然環境とそこに生息する生物を守る活動をされています。

 

お話の最後に、ヒトと自然が共に生きるにはどうしたらよいか?という質問をさせていただいたところ、「まずは、そこにある自然を大切にしてもらいたい。立ち止まって5分でも10分でもいいのでその場を観察をすることでなにかしら新たな発見があるはず。」という、誰もが実践できる「観察」という自然との繋がり方を教えていただきました。

 

さらに、「自分の足元を観察してみると沢山の生物がいることがわかります。そして自然は思っている以上に、ちょっとしたきっかけで変わってしまうということも知っておいてもらいたい。」というお話も印象に残りました。例えば飼えなくなってしまったペットを、飼えなくなり可哀そうだからと自然に放すと、そこに既にある生態系を破壊することになり、別の生物を危機に追いやってしまうのです。一度飼育したら終生飼育を徹底するなど、動物を飼い可愛がる上で注意するべきことも重要だと感じました。

カワセミを撮影

エシカル・サスティナブルな消費活動のために

指輪やジュエリーの起源は、自然環境にある鉱物や貴石・宝石を身につけたことが始まりです。その歴史は旧石器時代に遡り、貝殻に穴をあけて首飾りにしたものが10万年前の遺跡から出土しています。人々は魔除けや、お守り、権威の象徴として地球の恵みをそのまま纏うことで、自然が持つ大きな力を日々感じとり、自然と繋がった暮らしをしていました。

現代では貴金属や宝石を富の象徴として身につける時代になることで、地形が変わるほどに大地は掘り起こされ、環境は破壊されていきます。現在のジュエリーや宝石から感じられるものは自然環境の悲鳴なのかもしれません。

 

人間が自分たちだけの為に自然環境から豊かさを得ていた時代は終焉を迎え、人間は自然環境を守りながら、野生動物とともに環境の変化に適応して暮らしていく時代の到来です。

奥入瀬渓流

エシカルジュエリー、サスティナブルジュエリーというジュエリージャンルがあります。エシカルとは「倫理的」「道徳上」という意味を持ち、私たち人間のその消費行動が人・社会・地域・環境に配慮されていることをさします。同じようにサスティナブルとは、最近ではSDGsの頭文字「S」としても耳にする機会が増えた「持続可能な」という意味で、こちらも人・社会・地域・環境に無理な負荷をかけずに、健全な消費サイクルが持続することを言います。

 

一生身につける結婚指輪は「人・社会・地域・環境」に配慮されたエシカルな消費でしょうか。自然保護や野生動物を守る活動を共に続けていきましょう。

ドネーションペンダント限定発売

ドネーションペンダント限定発売

KAWASEMI(カワセミ) ドネーションペンダント発売

《発売日》2023年11月15日(水)
《価格》¥22,000(1本/税込)
《数量》限定20本 ※シリアルナンバーあり(※ナンバーは先着順となりご希望の番号に添えない場合があります。)
《素材》ペンダントトップ:ジルコニウム製/チェーン:ステンレス製(50cm)
《購入方法》SORA公式オンラインショップ

☆ご購入額の50%を「日本野鳥の会」への活動支援金として寄付いたします。


ソラの坂本

《ライター紹介》

SORA営業企画部マーケティングチーム所属

日本自然保護協会(NACS-J)自然観察指導員

坂本良太

 

宇宙撮影でもおなじみマーケの坂本。普段は企画業務をこなしつつイベント運営、機材の試作までなんでもやる課のアラフォーパパ。最近気になることは宇宙創生とベルトサンダー。